今回の記事でご紹介する本:『夫婦という病』 (著:岡田尊司)
はじめに
お読み下さってありがとうございます!
みなさんは、結婚や離婚についての悩みを抱えていますか?
もしかしたら「好きで結婚したのに、なぜかうまくいかない」「愛しているのに、すれ違いばかり」という方もいらっしゃるかもしれません。
今回取り上げる一冊は、パーソナリティ障害や発達障害の問題と向き合い続け、臨床医として活躍されている精神科医・作家の岡田先生による『夫婦という病』です。
本書は、私自身が過去に婚活→交際→結婚→離婚の中で悩み続けた際、大きなヒントをくれた一冊であり、人生に影響を与えてくれた一冊でもあります。
前回の記事(前編、後編)では愛着スタイルについて解説しましたが、今回は結婚生活に落とし込んで考えてみます。
結婚・離婚という決断は簡単なものではないだけに、悩んでいる方も多いと思いますが、少しでも役立つヒントとなれば幸いですので、ぜひお付き合いください。
愛着スタイルを知ろう
まずは、愛着スタイルの3タイプを再確認しておきましょう。
あなたやパートナーはどのタイプに当てはまりますか?
・Nタイプ……不安型。パートナーとの親密度を極大化したい。依存心が強い。
・Vタイプ……回避型。パートナーとの親密度を極小化したい。独立心が強い。
・Sタイプ……安定型。パートナーとの適度な親密度を保てる。尊重心が強い。
本書でも、基本的にはこの分類に準じますが、さらに「自己愛」の視点を取り入れて考察されています。
「自己愛は、自分を大切にするために必要な能力」(p.32)なのですが、 自己愛が未成熟な場合は「自分が特別扱いされたい」または「他人を理想化して尽くしてしまう」など歪んだ関係性をもたらしてしまう原因になります。
上記分類でいうと、不安型と回避型の人は自己愛が不安定であり、安定型の人は文字どおり自己愛も安定しています。
本書に収められた21のケーススタディの中でも、不安定型の愛着スタイルのカップルは多く取り上げられています。たとえば……
✅ ケース1
妻:「悩みごとはどんな小さなことでも夫に相談したい!」Nタイプ
夫:「仕事がきつくて家では穏やかに過ごしたい…」Vタイプ
✅ ケース2
妻:「旦那は自分にもったいない理想的な相手、何でも言うこと聞かないと…」Nタイプ
夫:「俺は特別な人間だ、妻は俺の命令を聞いて当たり前だ!」Vタイプ
✅ ケース12
妻:「感情より数字が大事、物事は完璧にコントロールしなければならない」Vタイプ
夫:「機嫌を取ったり子供っぽく怒ったりしてでも、妻に構ってほしい!」Nタイプ
このように、結婚生活における色々な問題も、愛着スタイルを用いて考えてみると明快に説明することが可能です。
特に、前回記事(前編、後編)でも紹介した「NVの罠」によって苦しんでいるカップルが多いことも分かります。
NVの罠を打破するために
それでは「NVの罠」に苦しんでいるカップルにとって、解決策はあるのでしょうか?
ここでは「現状の改善」と「夫婦のあり方を見つめ直す」の2方面から考えてみます。
現状の改善
まずはパートナーとのコミュニケーションを改善できないか、改めて考えてみましょう。
自分やパートナーの行動で不可解だった点も、愛着スタイルを理解することで「そういうことだったのか!」と納得できる部分があるかもしれません。
二人の問題について話し合う際は、相手を責めることをせず、問題点そのものに注意を絞って建設的な議論をしましょう。
また「発信」だけでなく「受信」にも気をつける必要があります。
相手の発言は、心の底からあなたを攻撃したり、無用に傷つけるために発せられた言葉でしょうか?
本心では、あなたと仲良くしたい、一緒にやっていきたいという気持ちがあるのではないでしょうか?
愛着スタイルが不安定な人ほど「傷つきやすい」のは仕方のないことで、それ自体は悪いことではありません。
しかしその傾向が強すぎると、相手に悪意がなくとも自分が被害者で、パートナーが加害者という図式を描いてしまいがちです。
パートナーに強い怒りを覚えたときは、その怒りが正当なものなのか、それとも自身の愛着スタイルから来る偏った受け止め方なのかを、一度冷静に考えてみる必要があると思います。
また、二人の間のコミュニケーションだけではなく、生活全般の改善を目指すことも考えてみましょう。
本書にも、「夫婦関係のほころびが広がりだすのは、大抵何か問題が発生し、通常よりも精神的な負荷が増えたときだ」(pp,157-158)とあるように、生活にゆとりがないことが、夫婦の問題を作り出すことが多いからです。
👉 「仕事が忙しくて夫婦の会話も減ってしまい、お金の話が出るとケンカになる…」
👉 「貯金がなく将来への不安が高まり、パートナーにいつもイライラする…」
著者も経済的プレッシャーの悪影響について指摘されていますが、こうした状態を改善することも、円満なパートナーシップを築く上では大切でしょう。
そのため、ネットで手頃な副業を始めてみる、固定費を見直して貯金する、積立で長期目線の投資をする、などの取り組みも必要になるかもしれません(お金の効果的な貯め方についても別記事で解説予定です)。
夫婦のあり方を見つめ直す
一方で、現状の改善にあらゆる手を作りしても見込みがないという場合には、根本から夫婦のあり方を見つめ直してみる必要が生じてきます。
近年では、事実婚や別居婚、カップルのみで子供はつくらない選択などなど、結婚の形も多様化してきています。
中でも、本書においてNタイプの妻と、Vタイプの夫の成功事例として紹介されているのが、「子どもができた後に、綿密に話し合いをした上で離婚をし、母親が親権を引き取り、父親ともゆるい関係を持ち続ける」というケースです(ケース20)。
離婚は離婚なのですが、お互いに話ができるうちに今後を話し合い、建設的・計画的に前向きな形で別れているところに成功のポイントがあります(このケースでは離婚までに3年かかっています)。
このケースの二人が別れる前後の状態を比較してみましょう。
【別れる前】
❌ 夫は、妻が自分を最優先にしないとすぐ不機嫌になる。
❌ 妻は、そんな夫をねぎらい家事を頑張るが、手が回らない。
❌ 仕事を辞め専業主婦になっても、夫からは遊んでいると見下される。
❌ 夫のDVがエスカレートし、子どもにまで危険が及ぶように…
【別れた後】
⭕️ 話し合いによって双方の理解が進み、離婚時には不思議がられるほどに。
⭕️ 親権は母親が引き取り、育児は実家のサポートを受けて行う。
⭕️ 父親は養育費を負担し、母親を金銭面で支え、定期的に子どもに面会。
⭕️ 適度な距離感が保たれたことで、子どもも以前より父親に懐くように。
⭕️ 愛情が必要なときは、自由恋愛に羽根を伸ばすこともできる。
こうした「新しい形」の結婚・子育ては、伝統的な価値観の方からすると眉を顰められてしまうかもしれませんが、本来は個人の生き方に良いも悪いもありません。
いつでも愛情を求め、社会において輝きたいNタイプの母親と、子育てにあまり深くコミットしたくないVタイプの父親とで、折り合いをつけられたという意味で、非常に参考になる事例だといえるでしょう。
まとめ
以上、この記事では岡田先生の『夫婦という病』を取り上げ、私個人の見解から重要と思われる部分のエッセンスをまとめ、感想を書いてきました。
私自身、結婚生活で夫婦のすれ違いを経験し、うまくいかずに悩み続ける中で、本書に出会い、前向きに離婚という決断をとることができましたし、離婚して良かったと今でも思っています。
✅ パートナーとの会話で、自分や相手の愛着スタイルをチェックする。
✅ 家計を見直すことにより、お金の不安を減らす。
✅ 結婚生活のビジョンについて、お互いに話し合う。
これらの行動が「NVの罠」を打破するためのきっかけになるかもしれません。
「夫婦だから常に一緒にいないといけない」という固定観念にとらわれすぎず、柔軟に生き方を考えてみると、新たな気づきが得られることもあります。
どのような「家族の形」を取るにしても、パートナー同士でしっかりと話し合えば、きっと落としどころを見つけることも可能なのではないでしょうか。
本書は全部で21のケーススタディが収められており、様々な結婚生活のリアルを学ぶことができ、また解決策についても大きなヒントを与えてくれますが、この記事では全体の3%程度しか紹介できていません。
愛着の問題以外にもアスペルガー、うつ、更年期障害、産後クライシスなど誰にでも訪れる夫婦問題についても丁寧に解説されています
そのため、結婚や離婚について考えている多くの人におすすめできる本となっています。
⚪︎この記事の内容に共感していただいた方は…⚪︎
<Amazonへのリンクここら辺に貼る予定>
※ワンクリックで、人生をより善くしてみませんか?
👉 恋愛をするたびに傷ついている。
👉 どうせ自分には結婚なんて出来ないと思っている。
👉 パートナーとの言い争いが絶えずに困っている。
👉 家庭円満の秘訣が知りたい。
このような方には間違いなくおすすめできる一冊です。
愛着理論を知ることで、自分自身の恋愛のクセを理解し、もっと良い関係を築けるかもしれません。
そんな気づきを得たい方は、ぜひ本書をチェックしてみてください!
豊富なケーススタディなど実践的内容も多く含まれております。
今後の記事でも、恋愛や結婚に役立つ情報を引き続き発信していきたいと思います。
それでは、最後までお読みくださり、ありがとうございました!
<本書の目次>
はじめに パートナーを愛していますか?
第一部 夫を愛せない妻たち
第一章 なぜ気持ちが通じないのか
ケース1 夫の無関心に疲れた妻
レッスン1 すれ違う愛着スタイル
第二章 自己愛夫に傷つく妻の自己愛
ケース2 失われた女盛り
レッスン2 自己愛をめぐる闘い
第三章 怒りのスイッチ
ケース3 美しき諍い女
レッスン3 非機能的怒りが人生をむしばむ
第四章 愛と優しさに飢えて
ケース4 不倫妻の癒やされない飢餓感
レッスン4 尽くす女が、夫よりろくでもない男に走る心理
第五章 一人ではキャッチボールはできない
ケース5 「アスペルガー」の夫をもつ妻の孤独
レッスン5 カサンドラ症候群に苦しむ妻たち
第六章 思い通りでないと許せない
ケース6 愛が終わるとき
レッスン6 「ねばならない」の思考が愛を殺す
第七章 回避する男たち
ケース7 独身に戻りたい男たち
レッスン7 回避性の男に生殺しにされる女たち
第八章 セックスに関心をなくす妻たち
ケース8 変わったのはどっち?
レッスン8 産後クライシスが夫婦の危機を招く
第九章 報われなかった努力
ケース9 多情な夫と良妻賢母の妻
レッスン9 キリギリスに、アリの暮らしはできない
第十章 悪夢は繰り返す
ケース10 DV夫から逃れたはずが
レッスン10 同じタイプの男を選んでしまうのは
第十一章 復讐する妻たち
ケース11 妻が貯金に精を出す理由
レッスン11 復讐しても人生は取り戻せない
第二部 愛と人生を取り戻す妻たち
第十二章 愛は支配ではない
ケース12 やり手のビジネス・レディの落とし穴
レッスン12 コントロールするのをやめる
第十三章 不機嫌な夫を優しくさせる方法
ケース13 モラハラ夫に悩まされる妻
レッスン13 夫の愛人になる
第十四章 怒りのスイッチを切るには
ケース14 三十年分の恨み
レッスン14 怒りを鎮めるのは、攻撃ではなく優しさ
第十五章 「DV亭主」との再出発
ケース15 勧められた離婚
レッスン15 修復の可能性を見極める
第十六章 鳥かごから羽ばたく妻たち
ケース16 妻から輝きを奪っていたのは
レッスン16 自分らしさを取り戻すために
第十七章 愛着が修復されるとき
ケース17 シングルマザーとバツイチ男が出会って
レッスン17 愛着スタイルは変わる
第三部 新しい愛の形を求めて
第十八章 長い糸に結ばれて
ケース18 「星の王子さま」との二十五年
レッスン18 変わる家族の形
第十九章 結婚を愛の墓場にしないためには
ケース19 自己実現と愛の欲求を両立させた女性
レッスン19 自己愛に生きるのも一つの人生
第二十章 新しい家族の形
ケース20 離婚して本当の幸せを手に入れた女性
レッスン20 自分にふさわしい家族の形を求めて
第二十一章 ライフサイクルとパートナー
ケース21 三度目の正直
レッスン21 年齢とともに変わる愛の形
おわりに 人は優しさなしでは生きられない
(本文269ページ)